内部統制と不正のトライアングル
- Internal Value
- 2024年10月14日
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内部統制は、企業や組織がリスクを管理し、目標を達成するために不可欠なプロセスです。特に、不正行為は企業にとって深刻なリスクの一つであり、不正を未然に防ぐための体制を整えることが求められます。その際に理解しておくべき概念が「不正のトライアングル」です。
●不正のトライアングルとは
不正のトライアングルは、アメリカの犯罪学者ドナルド・クリーヴランドによって提唱された理論で、不正行為が発生するためには以下の三つの要素が必要だとされています。
1. 動機 (Motivation)
不正行為を行う理由や欲求です。例えば、経済的な困窮、業績のプレッシャー、私的利益を得たいという欲望などが挙げられます。この動機が強いほど、不正行為に走るリスクが高まります。
2. 機会 (Opportunity)
不正を行うための状況や環境のことを指します。内部統制が不十分な場合や、監視体制が弱いと、不正行為を行う機会が増えてしまいます。例えば、会計システムにおける脆弱性や、複数人での承認プロセスがない場合などです。
3. 正当化 (Rationalization)
不正行為を正当化するための理由や論理です。例えば、「会社が私を評価しないから仕方がない」や「一時的なもので、すぐに返すから問題ない」といった考え方がこれに該当します。正当化が働くことで、不正行為への心理的なハードルが下がるのです。
●不正行為を防ぐための内部統制
内部統制の強化は、不正のトライアングルの各要素に対処するために非常に重要です。以下に、具体的な対策を示します。
1. 動機への対策
従業員の満足度を高めるための施策を講じることが効果的です。給与の見直しや福利厚生の充実、キャリアパスの明確化などを通じて、従業員のモチベーションを高めることが動機を抑制します。
2. 機会への対策
内部統制をしっかりと敷き、監視体制を強化することが重要です。特に、業務分掌の見直しや、定期的な監査の実施、従業員のアクセス権の制限などが有効です。また、不正行為を発見した場合の通報制度を設けることも、機会を減らす手段となります。
3. 正当化への対策
倫理教育やコンプライアンス研修を定期的に行い、社内の価値観を明確にすることが必要です。また、従業員が不正に走った際の影響についての理解を深めることで、正当化を防ぐ効果があります。
●結論
内部統制と不正のトライアングルの理解は、企業における不正行為を防ぐための第一歩です。組織としてリスクを認識し、適切な対策を講じることで、信頼性の高い業務運営が可能になります。企業は従業員の行動をただ規制するのではなく、リスク要因に目を向けて改善していくことが求められます。これにより、持続可能な成長と信頼の構築が実現できるでしょう。
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